1. トップページ
  2. SEA-GOTO 〜海のシゴト ガイドブック〜
  3. 海運のシゴト
  4. オペレーター
  5. 原 拓輝
SEA-GOTO 〜海のシゴト ガイドブック〜


「オペレーター」とは船と陸をつなぐ架け橋


 川崎汽船株式会社に入社してオペレーターを務める原 拓輝さん。貨物を載せた船の運航管理を行っています。
 入社一年目で、まだ教わることばかりだという原さん。人々の暮らしの役に立っていることを実感し、充実した日々を送っているそうですが、就職活動をするまで海運業界には興味がなかったとのこと。海運業界に進路を定めた理由のほか、現在の仕事の面白い部分や苦労していることなどをお伺いしました。
(取材協力:川崎汽船 株式会社)


海上を行き交う船の運行管理を行う「オペレーター」とは

 貨物を乗せた船を目的地まで安全に届けるための運航管理を行うのが「オペレーター」です。
運航に関わるさまざまな手配業務や現在の運航状況のチェック、天候などの諸事情で左右される航路の確認など業務は多岐にわたります。

  1. 船の運航管理を行うオペレーターとして、日本のエネルギーを支える
  2. 就職前まで知らなかった海運業界。川崎汽船との出会いは、意外にも身近にあった
  3. 海上でのトラブルを陸上で切り抜けるオペレーション!

06:00
起床
08:50
出社
09:00
本船の運航状況確認
10:30
顧客と本船の運航状況共有
12:00
昼食
13:30
チーム内会議
15:30
営業担当とオペレーション業務の確認
17:30
翌日の業務を確認
18:00
退社
19:00
帰宅
19:30
夕食
23:30
就寝

英語も必須!オペレーターの業務内容


「オペレーター」の業務内容について教えてください。

 私の業務は船に積んだお客様の大切な貨物を安全に目的地へお届けすることです。どこで何の荷物を積み、どこまで運ぶかという指示や管理を行うのが「オペレーター」の仕事です。
 たとえば私が担当するお客様は日本国内の電力会社なのですが、オーストラリアやインドネシアからお客様の火力発電所まで石炭を積んで運ぶなどしています。

船の運航指示はどのように行うのでしょうか?

 電話で貨物を輸送する船と連絡をとりますが、船長は外国籍のため基本的に英語での会話となります。
 船が海外にいる時は、会話をしていても時間差が発生するので、声が遅れて聞こえてくるなど聞き取ることが難しいこともあります。

英会話は得意なのでしょうか?

 苦手です(笑)。できないほうだと思います。日々仕事をしながら英語力も鍛(きた)えられているという感じです。
 もちろん失敗もたくさんあり、そこから学んでいることも多いです。例えば船長からの電話でわかったつもりになっていたことが、後から来たメールで違っていたことに気づいたことがあります。
 こうしたことから電話だけではなく事実確認をメールでも行うなど、何重にもチェックをするように心がけています。日々勉強です。


仕事上で常に心がけていることはありますか?

 可能な限り現場に足を運び、船を見て関係者と話をするようにしています。机上の業務だけでは、船のことを知ることはできないので、積極的に現場に足を運び、時には船に宿泊して一緒に食事をしたり船内を案内してもらったりして勉強をするようにしています。


担当する船に乗ってみてどんな印象を持ちましたか?


 意外と住みごこちがいいなと思いました(笑)。船員の皆さんは一度乗船すると長期間の船上生活になるので、環境は重要だと思います。あと、ご飯がおいしくてびっくりしました。


就職活動ではじめて知った「海運業界」


原さんが川崎汽船を就職先に選んだきっかけは何だったのでしょうか?

 実は就職活動を始めるまで海運という業界を知りませんでした。ただ漠然と海外に関わる仕事がしたいと思っていただけの状態でスタートした就職活動でしたが、川崎汽船を志望したのは、アメリカに旅行した時に川崎汽船の船を現地で見たことがきっかけです。遠く離れた国で、日本の会社が人々の暮らしを支えている、無くてはならない存在であることを強く感じ、川崎汽船に就職したいと思いました。

オペレーターの仕事をしていてやりがいを感じることはどんなところですか?



 船の運航管理を行う上で、台風などの自然災害と向き合うことが多く発生します。その時に職場の先輩方のアドバイスもいただきながら、迅速に切り抜けられた時は成長したなと感じます。
 また、私は日本の火力発電所に、海外から石炭を運ぶ仕事に携わっていますが、私たちが運んだ石炭が使われて電気を生み出し、人々の生活を支えていると考えると、とてもやりがいのある仕事だと感じています。現場に行くとその一部に触れることができるような気がします。私が現場に行く理由は、勉強のためだけでなく、仕事のやりがいを感じるためでもあります。

やりがいとは逆に「辛い」と感じられたことはありますか?



 英語が得意ではないので貨物を輸送する船と電話をする時は辛いです(笑)。
 電話では相手の顔も見えませんので、感情を感じ取れなかったり、上手に伝えたいことが伝えられなかったりすることが難しいです。
 しかし、周囲の環境がとても良いです。職場や船の皆さんはとてもあたたかく、皆さんに助けていただきながら、学び続けています。


この仕事に就いてみてよかったと思うことはどんなことですか?

 担当している仕事のフィールドが海なので、世界は広いなとあらためて思います。
 また、船長を始めとする船員の皆さんがとてもあたたかいですし、社内の雰囲気がとてもいいので、会社に行きたくないと感じることがありません。
 そして休みがしっかりともらえます。週休2日制で祝日も休みです。有給もきちんと取ることができますので、メリハリのある生活ができることが嬉しいです。
 休日には大学時代にしていたラクロスの審判をしていることが多いです。


仕事上での将来の夢はありますか?

 今は通常業務をこなすことが精一杯で、将来のことを考える余裕はありませんが、部署にいる先輩オペレーターのように、自分の業務だけではなく人のサポートができるようなオペレーターになりたいです。
 例えば、営業の人に欲しい情報を言われて出すのではなく、自分から提案し、スムーズに業務が進むようにしていきたいと思います。

原さんにとって「オペレーター」とは?

 オペレーターとは船と陸をつなぐ架け橋であると思います。

どんな人がこの仕事に向いていると思いますか?

 思い通りに物事が進まなくても柔軟に対応できる人です。船の仕事は天候や自然災害などの外的要因に左右され、自分でどうにかできることは少ないです。それでも、その中で常にベストな選択ができるような柔軟な発想を持つ人が向いていると思います。
 困難があっても意外となんとかなるもの。先輩たちに教えていただきながら苦手なことも乗り越えていくことを逆に楽しむくらいの気持ちでいられると良いのではないでしょうか。

2018年12月に都内で取材

普段の生活では知り得ない海の世界、職業の人を知ることができます。船は24時間365日世界中を走っており、この業界で働くことはそのダイナミックな世界の一部を支えることだと思います。普段触れる機会のない海運業界だからこその魅力があると思います。


PROFILE:
22歳 入社1年目 東京都出身
オペレーター 原 拓輝 
川崎汽船 株式会社

2018年
慶應義塾大学経済学部卒業
川崎汽船株式会社入社

おすすめ記事

Twitter Instagram Youtube