日鉄物流株式会社で船長を務めている段下 進さん。
ご両親が漁師をしていたことから幼い頃より海の仕事に憧れを持っていたといいます。今では、全国各地の港に積荷を運ぶ内航船で船長として活躍しています。現在の仕事への想いを伺いました。
(取材協力:日鉄物流株式会社)
船の運航の最高責任者が船長です。船長は船の知識や操船技術だけではなく、船員をまとめるリーダーシップやコミュニケーション能力、そして安全を遵守するための判断力などあらゆる面で高い能力が問われる職種です。
- 船長は船上における様々な最終判断を下す最高責任者
- 休暇や給与面でのメリットも大きく、若い人にも魅力的な仕事
現在の業務内容について教えてください。
製鉄所の鋼材(製品)を港から港へ運ぶ貨物船で船長として働いています。船の操船・離接岸・乗組員の健康状態の把握など、業務は多岐にわたります。
離着岸時においては、例えば*全天候バースに船を入れる時は、幅が狭いのでとても緊張しますし、難しいです。また、船は乗組員と力を合わせて動かしているので、とくに乗組員の健康には気を配っています。
船長は、船上における様々なことに対して最終判断を下す必要がありますので、常に緊張感をもって職務にあたっています。
*全天候バース…屋根がついていて雨の中でも荷物の積み下ろしができる船の停泊場所。
仕事上で常に心がけていることはありますか?
安全第一を心がけています。例えば東京湾は、すごく船が多くて操船も難しいので気を使いますし、天候不良の時は早めに気象情報を集めて、適切な判断を行うよう心がけています。また、船や積荷はもちろん、乗組員の安全にも気を配っています。乗組員ひとりひとりには家族があり、万一の事故等があれば失うものの大きさは計り知れないからです。
この仕事に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?
両親が漁師をしており小さい時から漁について行っていましたので、小学生の頃から船乗りに憧れていました。
単純に「かっこいい!」と思っていました。
仕事で大変だったことはどんなことでしょうか?
荒天時の避難ルートを検討したり、乗組員の健康状態の把握など、多岐にわたる業務を的確にこなすことは大変といえば大変なのですが、自分は実はそれほど負担に感じたことはないんです。本当に船が好きだからでしょうね。
仕事上で将来の夢はありますか?
夢が船長になることだったので「既に叶いました。」というところでしょうか(笑)。
休暇に関してはどうでしょうか?
今は3ヶ月乗船後、1ヵ月休暇というパターンです。
休暇の時は孫と遊んでいます。
船を降りる時は、すごくホッとします。1カ月連続の休みは長いですが、孫と遊んでいるとあっという間に終わってしまいます。
この職業の魅力はどんなところにあるでしょうか
休暇の長さの他にも給与面が他業種と比較して優れていることは魅力的だと思います。そういう点では若い人にも夢がある仕事ではないでしょうか?
また、天気のいい日の航海や日の出、夜の光景など船上からしか見られない景色を楽しめることも魅力だと思います。
どんな人が向いていると思いますか?
素直な性格の人が向いていると思います。また、メンタルが強くなければなりません。家族と離れて暮らすのが辛いという人もいますので。
ただ、はじめからメンタルが強い人はいません。コツコツと続けていくことで鍛えられます。そのために素直にコツコツと続けられる人に向いている仕事だといえます。
ご自身の仕事を一言で言うと?
日本の物流を支える仕事です。
2018年12月に都内某港で取材
船の仕事をしている人は温かい人が多く、面倒見がいいですが安全面には厳しいです。神経を尖らせないといけない場面も多いですが、人から憧れられることも多く、かっこいい仕事です!
素直で人とのコミュニケーションを大切にできる人は、ぜひこの仕事を目指してほしいです!
PROFILE:
50歳 入社12年目 熊本県出身
船長 段下 進
日鉄物流株式会社
取得資格:
三級海技士(航海)
- 1986年
- 口之津海員学校卒業
- 1986年
- 九州商船株式会社入社
- 2007年
- 日鐡物流株式会社入社