向島ドック株式会社で総合技能職として船舶修理機関の仕事に従事する安保 俊彦さん。
入社当初は、メンテナンスをする船の部品や作業工程の多さになかなか慣れずに苦労したといいます。先輩方に支えられながら、結果が目に見えることにやりがいを感じるという今の安保さんに、造船の仕事についてお話を伺いました。
(取材協力:向島ドック株式会社)
船に装備されている機械・部品の整備・取付け・調整などを行います。車の車検の時のように点検してメンテナンスを行うことで船の安全を守っています。
船は大きさの分、部品数も多く、限られた時間で作業を行うため、チームを組んで仕事をします。
- 部品や手順の多さにはじめは苦戦
- 仕事の内容は船により変わるのが大変だが飽きがなく魅力的
- 船にとっての医者のような感覚でメンテナンスに取り組んでいる
現在の業務内容について教えてください。
エンジンやプロペラなどの整備です。
整備では、点検や分解・洗浄など手順が多くたくさん覚えることがあり、なかなか大変です。ひとつひとつの部品ごとに異なった特性・原理があるので、それを把握する必要があるため、5〜6人のチームに分かれて仕事をします。
仕事上で常に心がけていることはありますか?
丁寧で迅速な行動です。以前部品を壊してしまったことがあります。ちょっとした焦りがもとになっていることが多いので、なるべく落ちついて仕事をするようにと心がけています。部品も船会社にとって重要な資産であるのでかなり気をつけていますし、丁寧にやることで、結果的には早く次の仕事に移れると思います。
この仕事に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?
普段から船は目にする環境でしたが、先輩が仕上の仕事をしていて、面白いと聞いたことがきっかけです。
高校の時は機械科でしたので旋盤(せんばん:部品の加工に使う器具)を扱った作業や、溶接の経験はありました。
見学した時には自分の仕事の経験も活きるかなと思い、入社を決めました。
仕事のやりがいはどんなところにありますか?
エンジンを整備してトラブルがなく出港した時。
結果が目に見えるのがやりがいに繋がりますね。
経験が必要になることが多いので、先輩方に教えてもらいながら進めています。
仕事で大変だったことはどんなことでしょうか?
物覚えが悪いところがあり苦労しましたが、何回も繰り返して覚えるしか無いと思い、体に染み付かせるくらいやることで克服しました。
仕上をする船も毎回変わりますから同じ作業を覚えるだけではだめです。
そこがとても大変なのですが、逆に魅力的な部分でもあります。なんと言っても飽きない仕事です。
仕事上で将来の夢はありますか?
ある程度、知識や経験が身についてきましたが、自信を持って仕事ができるようになったのは最近のことです。
それは自分の努力もありますが、班長や先輩方が、困っている時に親身になってくれたおかげだと感じています。将来の夢というわけではありませんが、私も困っている後輩に色々と教えられる先輩方のような人になりたいと思っています。
また、人に教えるということで、自分の中であやふやだったところもスッキリと理解できることもあり、自分のためにもなると考えています。
休暇に関してはどうでしょうか?
週休1日で連休は少ないですが、休みの日はサッカー観戦や、以前は地元の子どもにサッカーを教えるなどもしていました。
この職業の魅力はどんなところにあるでしょうか?
フレンドリーな人が多いと感じています。和気あいあいとした職場です。先輩方の人柄が良いので、社内も明るいです。
実は子ども時代からプラモデルなど好きだったわけでもなく、ものを組み上げるということはあまりしてきませんでした。しかし、この仕事について面白いなと思うようになりました。デスクワークよりも手を動かして何かをつくるほうが自分には性に合うと感じています。
この職業を目指す方に必要なものは何だと思いますか?
物覚えがいい人です(笑)。あと体力のある人。作業現場の気温が上がったり、逆にすごく寒い時もあります。工場に冷暖房が入っているわけではないので、体力がないと厳しいかもしれません。
安保さんの仕事を一言で言うとどんなものでしょうか?
一言でいうと「船の医者」です。
メンテナンスをしないと突然動かなくなることもありますし、船を長く運航するためにもしっかりと診察しなくてはいけません。
2019年1月に広島で取材
PROFILE:
26歳 7年目 広島県出身
総合技能職(船舶修理機関) 安保 俊彦
向島ドック株式会社
取得資格:
玉掛技能講習
ガス溶接技能講習
3級舶用機関整備士
- 2011年
- 尾道高等学校卒業
- 2011年
- 向島ドック株式会社入社